平成27年4月23日茨城新聞
◆北茨城 震災の記憶、後世に 祈念碑完成 お披露目
北茨城市大津町出身の歌手・石井竜也さんが東日本大震災の記憶を後世に伝える祈念碑をデザインし、その完成式典が22日、同市関南町の漁業歴史資料館よう・そろーで開かれた。祈念碑は希望に向かって羽ばたく乙女のブロンズ像で、石井さんは「TOMORROW」と名付けた思いを説明しながら「“明日”は子どもたちのための言葉。大きな夢を抱いてこの像のように羽ばたいていってほしい」と語り掛けた。
式典には地元住民ら約300人が集まり、同所に設置された高さ3.2メートル(台座1.5メートル)のブロンズ像の除幕を見守った。
拍手で迎えられた石井さんは「大津は漁業の町で、命を育んでくれる海は女性のようだと思い、女性のエンゼルにした。子どもたちが未来に飛べるように、(復興のために)縁の下の力持ちとなって街を盛り上げていきます」と決意を語った。
市立大津小の5、6年生50人が碑文を読み上げ「私たちはまっすぐに前を向き、歩き出そうと思う」などと声をそろえた。
続いて、石井さんが母校の同校児童たちと2011年に作り上げた楽曲「世界の絆〜命にありがとう」を合唱。歌詞は当時の6年生たちが震災当日を振り返り言葉にしたもので、集まった人たちは静かに聞き入っていた。
祈念碑建立は同市社会福祉協議会が中心となり、住民からの寄付基金で制作。同市社協大津支部の小松嘉洋支部長は「何十年、年百年の後まで教訓として(大震災を)伝えていくために、この地に建立でき、よかった」と話した。 (市毛雅奈子)