ついに「天心」クランクイン!と言いたい所ですが、この日は北茨城の六角堂の実景を先行撮影。前日に完成したばかりで竣工式を迎えた六角堂。その翌日にロケを敢行しました。ただし、実景だけではなく、下記のように大工姿の男衆が!一体、なぜ?!
実は、今回の六角堂の再建に併せ、創建当時に天心が見たであろうシーンとして完成直後の姿を撮影したのです。津波によって消失したものの、管理する茨城大学さんのプロジェクトで見事に再建された六角堂。昭和にかなり改修されていた建物を、創建当時の明治のころに復興したのです。
約100年後に訪れた、奇跡的な偶然。そこで、私たちもこの偶然をキャメラに収めたい・・・と撮影を決行。これも偶然か、明治38年のちょうど同じ春に建築された六角堂。時を約100年前にさかのぼらせて、平潟の船大工さんたちに登場してもらったのです。ちなみに、演じてくれたのは特命教授の三輪先生はじめ茨城大学六角堂復興プロジェクトのみなさん。
プロデューサーと私でキャスティング。皆、明治男の凛々しさ、溌剌さをもった面々で、ナチュラルに熱演してくれました。「地元の人は天心を東京の偉い先生と敬いながらも怖れていた。美術院には近寄りがたかったという地元の人の証言もある。天心が現場を見ている設定なので、和気藹々の楽しい雰囲気ではなく、緊張気味の真面目な表情でやってもらいたい」と私が指導。
さらにこの日は、現場を指揮する松井リフォームの佐藤監督と小林造園の小林社長、それに建築担当の日本木工染谷社長が全面協力。染谷社長は年代ものの貴重な半纏を用意してくれたばかりか、撮影のために作業も中断。小林社長は、見学コースの柵を抜き、近辺の木々の剪定もしてくれ、大工衣装の着方、鉢巻の絞め方、道具箱の持ち方なども指導。
近くの五浦観光ホテルさんは撮影用に部屋を提供してくれるなど、地元の熱気あふれる応援が本当に嬉しかった・・・天気も素晴らしく、宝珠が生き生きと輝き、まさに完成間近の六角堂が出現したような映像が撮れました。
当日は「波山」の撮影、芦澤明子さんと、美術の池谷仙克さんも立ち会い現場はスムーズ。私は池谷さんとは初仕事。鈴木清順、寺山修司、実相寺昭雄、篠田正浩ら、錚々たる監督たちの名作を手掛けられた巨匠。しかし、大変和やかで、的確かつ、臨機応変に、六角堂の扉や道具箱などの細工をあっという間にこなす職人技。
この初日で、相当な手ごたえを感じた。これは絶対、実現しなければならない!言葉だけでなく、必ずや・・・・
なお、この様子をNHK水戸の放送局が取材してくれました。半月前ぐらいから、私や現場を密着取材。嬉しいことに最初は水戸放送局の予定が、NHK総合の関東エリアで放映してくれることに・・・
緊急告知にもあるように、4月23日(月)の夕方6:00~7:00の「首都圏ネットワーク」という番組で6、7分の特集コーナーで紹介されるそうです。ぜひ見てください!