平成23年3月11日に発生した「東北地方太平洋沖地震」に伴う「大津波」により、日本美術院を創設した思想家の岡倉天心(本名:覚三 1863~1913年)が明治38年に建設した「五浦の六角堂」(国登録有形文化財)は、10メートル近い津波により、土台だけを残して流失致してしました。
六角堂の復興は、以下のような基本方針と経過のもとに進められています。
六角堂の復興の他に天心邸、長屋門の修復も行っています。さらに、地域振興のため日本美術院研究所の再建や、今回の大震災と津波を後世に伝えるために、海底調査によって引き上げられた品々や、復興までの記録を展示する復興記念館の建設を視野に入れ、六角堂を中心とした五浦地区全体の復興を計画しています。
六角堂再建の基本方針
1、六角堂は明治38年の創建当初の姿の復元を目指す。
2、瓦は、昭和38年の改修工事で新しく葺き替えられたが、明治38年当時の桟瓦(8寸幅)で復元する。
3、昭和38年の改修で変更された南側の出窓は、記録等を検討して当初のものに戻す。
4、昭和38年の改修で撤去された中央の六角形の炉を再現する。
5、土台の分析から、当初の外観を復元する。
6、窓ガラスは、当時の製法による再現を試みる。
7、建物全体の彩色は、明治38年当時のベンガラ彩色を研究して実施する。
8、土台の分析から、石垣は当初、茨城産の石灰岩の平詰みだったことが判明した。
9、露盤の宝珠は創建当初のものと推定されるが、破損が激しいため3Dスキャンにより当初の形態を復元し、その後実寸模型を作成し、完 成させる。
6月 6日 第1回六角堂海底捜索
6月14日 第2回六角堂海底捜索
6月20日 第3回六角堂海底捜索
7月 7日 第1回茨城大学と茨城県建築士会との再建合同会議
7月20日 第2回茨城大学と茨城県建築士会との再建合同会議
8月 1日 六角堂の測量を開始
8月 6日 水戸黄門まつりにて、六角堂の復興をアピール
8月 9日 六角堂基礎解体工事開始
8月22日 第3回茨城大学と茨城県建築士会との再建合同会議
9月13日 第4回茨城大学と茨城県建築士会との再建合同会議
9月15日 第4回六角堂海底捜索
10月14日 六角堂地盤調査
11月 2日 第5回茨城大学と茨城建築士会との再建合同会議
11月15日 立木(原木)の伐採
11月15日 原木の葉枯らし乾燥(11月15日~1月16日)
11月18日 工事契約締結(松井リフォーム(株))
11月21日 起工式
12月 7日 六角堂等復旧工事会議を実施
1月14日 六角堂建設位置測量
1月17日 いわき市山林で原木の玉切り
1月17日 いわき市山林から五浦海岸へ原木の搬出
1月17日 原木の乾燥(1月17日~2月6日)
1月19日 長屋門入口養生塀に復興プロジェクトポスター設置
1月21日 千波湖畔で「天心・六角堂復興パネル展」が開催(1月21日~3月31日)
1月27日 六角堂瓦材搬入
1月31日 六角堂原寸検査(千葉県君津市)
2月 2日 六角堂基礎コンクリート打設
2月 6日 原木移動(五浦海岸から製材工場へ)
2月 8日 木材製材(2月8日~2月13日)
2月15日 造作材人工乾燥(2月15日~2月28日)
3月 3日 木材加工(3月3日~3月24日)
3月 6日 鬼瓦と宝珠が搬入
3月12日 基礎外壁石張り開始
3月19日 基礎外壁石張り終了(明治38年創建時の石張りを再現する)
3月21日 工場ベンガラ塗装(3月21日~3月22日)
3月25日 木製建具工場製作(3月25日~4月9日)
3月26日 外部足場架け
3月27日 軸組建方(3月27日~3月28日)
3月27日 上棟式
3月28日 六角堂棟札が搬入
3月30日 内外部造作(3月30日~4月7日)
4月 2日 瓦葺き(4月2日~4月11日)
4月 6日 木羽葺き(4月6日~4月12日)
4月 6日 内壁漆喰(4月6日~4月10日)
4月 8日 外部ベンガラ塗装(4月8日~4月13日)
4月12日 ガラスはめ込み
4月13日 木羽葺保護塗
4月13日 外部足場解体
4月16日 引渡し
4月17日 六角堂竣工式
4月には「創建時に限りなく近い姿」の六角堂が、
復興のシンボルとして五浦の海を目前に颯爽と蘇る予定です。